第 7 回こども未来戦略会議 (2023-10-02)
こども未来戦略会議の 7 回目。
議事録は https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/index.html から辿れる。
全世代型社会保障改革担当大臣の新藤氏が司会
今回からの交代
全国町村会の構成員 : 荒木泰臣構成員 → 吉田隆行構成員
全国知事会の構成員 : 平井伸治構成員 → 村井嘉浩構成員
欠席
高橋委員、冨山委員、水島委員
これまでの経緯と今後
こども・子育て政策の強化について、6 月に本会議において 「こども未来戦略方針」 を取りまとめて、政府として閣議決定した
今後、加速化プランに掲げる施策などについて、できるものから実行に移していくとともに、細部の議論を進め、年末までに 「こども未来戦略」 として取りまとめていく
今回はその議論のキックオフ
今回の流れ
加藤大臣から資料 1 に沿って、こども未来戦略の広報の取組を説明
新藤大臣から資料 2 及び資料 3-1 に沿って 「こども未来戦略方針」 のうち既に実施している主な取組や 「こども未来戦略方針」 の具体化について説明
その後、有識者から発言
こども未来戦略の広報の取組 (加藤内閣府特命担当大臣 (こども政策 少子化対策 若者活躍 男女共同参画))
資料 : https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou1.pdf
「こども未来戦略方針」 の加速化プランでは、児童手当の拡充や、こども誰でも通園制度 (仮称) の創設、産後ケアの拡充などが盛り込まれている
これらの取り組みを良く知ってもらい、安心して子育てできると感じてもらうことが重要
PR 動画を作成して SNS で発信
こども未来戦略方針 MAP を用いて、加速化プランに盛り込まれた施策を紹介
「こども未来戦略方針」 のうち既に実施している主な取組や 「こども未来戦略方針」 の具体化について
資料
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou2.pdf
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou3-1.pdf
加速化プランを支える安定的な財源は、2028 年度までに徹底した歳出改革等を引き続き行い、それによる公費の節減等の効果及び社会保障負担軽減効果を活用しながら、実質的な追加負担を生じさせないことを目指す
歳出改革に関しては、今後、全世代型社会保障構築会議において経済財政諮問会議と連携して議論を深め、2028 年度までに必要な具体的な社会保障の改革工程を年末までに策定予定
あわせて、経済活性化、経済成長の取組を先行させ、これらを行う中で、企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、負担能力に応じて公平に、広く負担していく新たな枠組みとして 「支援金制度 (仮称)」を構築する
こども家庭庁の下に、こども・子育て支援のための新たな特別会計、こども金庫を創設することとする
有識者からの意見
学習院大学の秋田氏
こども家庭審議会にて、以下のものを取りまとめている
こども基本法に基づき、幅広いこども施策の中長期の基本的な方針や重要事項を一元的に定める 「こども大綱」の策定に向けた中間整理
全世代の方に向けて、なぜ乳幼児期の投資が重要であるかということをまとめた 「幼児期までのこどもの育ちに係る基本的なヴィジョン」 の中間整理
「こどもの居場所づくりに関する指針」 の素案
学習院大学の遠藤氏
こども・子育て政策を支える安定財源について
支援金制度につきましては、賦課対象者の広さを考慮しつつ、社会保険の賦課・徴収ルートを活用することとされている
賦課対象者の広さという観点からは、年金制度は現役世代、介護保険制度は 40 歳以上がそれぞれ賦課対象となる一方で、医療保険制度は全世代が対象となので、医療保険制度を活用することが考えられる
その場合、医療保険料とは名称を含めて別立てで徴収することが透明性の点から重要であると考える
NPO 法人子育てひろば全国連絡協議会、認定 NPO 法人びーのびーのの奥山氏
こどもの誕生前から幼児期までは人の生涯にわたるウェルビーイングの基盤となる最も重要な時期 → 基本的ヴィジョンを策定し、全世代の全ての人と共有し、この時期から支えていくことがこどもまんなか社会の実現につながる
人生の終末期が介護保険をはじめとした家族だけではない社会制度で支えられているが、人生のスタート期も同様に、未来の社会保障の担い手であるこどもたちを、家族だけでなく、皆で応援し、社会制度で保障される必要があると考える
権丈善一氏
新しい再分配制度
20 年以上前に 『再分配政策の政治経済学』 という本を出版して以来、この政策がどれほど国民みんなの日々の生活を楽にして、しかも成長を促すことになるのかと説き続けてきたが、なかなか理解されない
ひどいものになると、今の福祉国家、再分配国家を封建社会の五公五民に例える人たちも出ている
現代の福祉国家、再分配国家がやっていることは、みんなの所得をプライベートに使っていいお金と連帯してみんなの助け合いのために使うお金に分けて、後者を今必要な人に分配し直しているだけ
社会保険のツールを使うということに対して、「取りやすいところから取る」 という、支援金の理念も分かっていない人たちからの批判もある
大本のところで少子化の大きな原因は、医療、介護、そして年金保険が存在すること → これら制度が、子育てを支えるということは、被保険者と事業主全員の未来にメリットがある
日本商工会議所会頭の小林健氏
費用対効果と納得感のあるものに集中すべき
児童手当は所得制限を撤廃しての支給ということになっているが、一律の現金給付の拡大は、国民理解が得られる納得度の高い施策とは思われない
必要とする人に必要な施策を効果的に提供することが、ワイズスペンディングの観点から重要
歳出改革の具体的な道筋を示すべき
3 兆円台半ばとされる少子化対策費用の多くを、社会保障等の徹底した歳出改革で賄うとしているが、その額や達成時期などについて、まだ明確なコミットメントがない
支援金の導入については、個々人に生ずる現実の追加負担の程度・影響が見通せないことが、対策全体に対する国民の不信感につながらないか、若干懸念がある
雇用保険制度の本来の目的でない施策への給付流用には反対
育児期の柔軟な働き方を実現することは重要だが、施策を講じるに当たり、雇用のセーフティーネット機能を本旨とする雇用保険制度をもって対応することは適切ではないと考える
子育て支援として行う育児休業給付の給付率引上げなどを、雇用保険財政にて賄うことを所与とした整理には反対
GENCOURAGE 代表の櫻井彩乃氏
政府が何をやるか国民に伝わっていないと感じる
婚活支援について、適切なパートナーに巡り合えない理由を分析する必要
清家篤氏 ( 日本赤十字社社長 / 慶應義塾学事顧問)
こども未来戦略のこども・子育て支援金につきましても、全世代型社会保障の基本的考え方を踏まえ、年齢に関わりなく、その能力に応じて支える仕組みとする必要があると考える
「全ての国民」 には、老若男女の個人とともに企業などの法人も含まれる
支援金制度としては、支え手の裾野の広い医療保険制度を活用することなども考えられる
三菱総合研究所の武田洋子氏
「実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」 という表現について、中には保険料負担が増えないと誤解される方もおり、丁寧な説明が必要と感じる
全国市長会の立谷秀清氏
全国市長会の各市区長から出ている懸念
こども・子育て施策については、都市自治体を通じて実施される政策も多い → その具体化の検討に当たっては地域の実情を十分踏まえた上で制度設計をしてもらいたい
国民の誤解や現場の自治体が混乱しないように
安定的な地方財源の確保も死活問題
日本経済団体連合会会長の十倉雅和氏
配布資料 : https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou6.pdf
現役世代の負担の抑制
現役世代の社会保険料負担増を抑制することは、構造的な賃金引上げの継続、成長と分配の好循環を確かなものとするためにも必要不可欠
こども未来戦略の施策が、現役世代の新たな負担増、実質的な追加負担につながらないよう施策を進めてもらいたい
中長期の視点での議論
今後、高齢者が増え続ける一方、主な支え手となる現役世代は急速に減少
若い世代は将来への漠とした不安を抱えている
若い人の将来不安は、我が国の少子化の原因
新しい将来人口推計等を踏まえ、確実に見える将来からバックキャストし、早急に全世代型社会保障の構築に取り組むべき
政府の議論への期待
1. 全世代型社会保障の将来推計を示し、給付と負担の在り方等について議論を行うこと
2. 労働者や担い手の確保 : 年収の壁の議論は、社会の支え手を増やす観点から抜本的な見直しが必要
3. 社会保険に限らず税も含めた一体改革の推進 : 現役世代の所得に過度に依存する財源を見直すことが求められる
中野美奈子氏
テレワーク (リモートワーク) について
幼児を見ながらは集中できないという話もある
小学校以降の需要がある
財源として相続税や贈与税も考えられないか
サントリーホールディングス株式会社代表取締役社長の新浪剛史氏
可処分所得の向上が重要
106 万円の壁への対応
企業としての賃上げ
地域で子育てを支えるという体制、共助
企業版や個人のふるさと納税や寄附税制
財源確保について
社会保障を中心に、ワイズスペンディングおよび EBPM によって歳出改革をしっかりと行うべき
雇用保険を本来の目的でない施策の財源にすることは趣旨が異なるし、可処分所得にも大変影響を及ぼす
社会保障制度はキャピタルゲインを十分に捕捉できていないため、キャピタルゲインを捕捉するための仕組みを整え、応能負担を徹底してもらいたい
NPO 法人 manma 創業者・理事の新居日南恵氏
目玉施策をスピード感を持って出していくのが広報に効くのではないか
018 サポートの例
多様なパートナーシップの形を応援することが少子化においても重要なのではないか
全国知事会長の村井氏
資料 : https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou9.pdf
全国町村会長の吉田氏
日本労働組合総連合会会長の芳野友子氏
資料 : https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai7/siryou10.pdf
雇用の安定、雇用不安の払拭と、所得の持続可能な向上の必要性
「こども未来戦略方針」 に記載されている雇用保険による施策は、雇用保険制度の趣旨に沿わない部分があることを踏まえれば、雇用保険財源ではない財源を確保すべき
支援金については、その法的性質や給付と負担の関係性、支援金の運営体制と責任、拠出する側からの意見反映など、多くの課題がある
税や財政全体の見直しを排除することなく、幅広い財源確保策を検討すべき